Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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パリさい

巴里祭

岡本 かの子

Leggi 巴里祭 (パリさい) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.324 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

こちらのマダムのなんか見ると、まったく悲しくなるわ。」

新吉はこの娘はまだ十七に届いていない年頃なのに相当、人の機嫌をとることにも慣れて居るのに驚いた。夫人も上機嫌で娘に言った。

――あんた、せい/″\此のムッシュウの気に入るように仕掛けて、あたしのような首飾りを買ってお貰いなさいよ。」

新吉の日本の妻にさえ嫉妬する夫人が眼の前の此の娘の出現にこんなに無関心で居られる――娘といい、夫人といい、巴里の女の表裏、真偽を今更のように新吉は不思議がった。遊戯のなかに切実性があり、切実かと思えば直ぐ遊戯めく。それにしても上流中流の人達が留守にした巴里の混雑のなかに、優雅な夫人と、鄙びて居ても何処か上品な娘を連れた新吉の一行は人の眼についた。

昼の食事の時刻も移ったと見えて店内の客はぽつ/\立上って行く。男女二人ずつ立って行く姿が壁鏡に背中を見せる。給仕がブリオーシュ(パン菓子)を籠に積み直してテーブルに腹匍いになって拭く。往来の人影も一層濃くなって酒に寛げられた笑い声が午後の日射しのなかに爆発する。群衆の隙から斜めに見えるオペラの辻の角のカフェ・ド・ラ・ペイには双眼鏡を肩から釣り下げたり、写真機を持った観光の外人客が並んで、行人に鼻を突き合せるほど道路にせり出して、之れが花の巴里の賑いかと気を奪われたような、むずかしい