Classici giapponesi con furigana
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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
Leggi 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) di 高村 光雲 (たかむらこううん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4467 caratteri · 9 schermate
「まあ、好いから、沢山におあがり……」
という。私は好物のことなれば直ちに箸を取り、お礼をいって食べていると、誰やら、くすくす笑い出します。師匠の妻君も笑い出す。師匠の妹にて、お勝という台所を仕切っていられる婦人も笑い出し、「幸さん、ご馳走様……」などいい出して、いかにも容子が変であるから、一体、このおそばはどうしたのですと、また問いますと、今まで真面目な顔をしていられた師匠も笑をふくみ、
「実は、これは、お前の御馳走なんだ。お前の鼠は逃げて蕎麦になったんだ。遠慮なしに沢山おあがり……」
こういわれて初めて気が附き、あの鼠を棚へ上げたまま、忘れてしまって使いに行ったが、どうしたろう、と店へ行って棚を見ると、鼠は何処へやったかおりません。……しかし、鼠が逃げてそばになったとは、いよいよおかしいと思っていると、実は斯々と師匠は私の留守に起った一条を物語り、世尊院の住職のお目に留まったは好いとしても、今から勝手なことをするようでは末始終身のためにならぬからと、アッサリと注意をされ、その場は笑いで終りました。
その後、この上人が、鼠一匹のことから、何かにつけて私を愛してくれられ、幸吉へと指名して彫る物を頼まれたことも度々で大いに面目を施したことがありました。