Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

Leggi 幕末維新懐古談 (ばくまついしんかいこだん) di 高村 光雲 (たかむらこううん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4975 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

「あなたですか」

「ええ、どうも……」

と、互いに名乗り合いこそしてはいないが、予てから、顔は充分見知っている仲、自然にその事が、談話の皮切りとなり、私が頭を擡ち上げると、きまり悪そうに其所を去ったことなども笑い話の中に出て、石川光明氏はいかにも人ずきの好い人。かねてから逢いたい逢いたいと思うていたのに、今日は牧氏の橋渡しで念が届いて満足と光明氏がいえば、私もまた、お作にはかねてから敬服して、どういう方であろうか、さぞ立派な人であろうと心に床しく思いおったのに知らぬこととて、毎度仕事場をお見舞い下された方が石川さんあなたであったとはまことに奇縁。私は本懐至極に思いますなど、逢ったその日その時から、一見旧知という言葉をそのままに打ち解け、互いに仕事の話など根こそげ話をして時の経つのを知らない位でありました。

石川氏は既に一流の大家であって、堂々門戸を張っている当時の流行ッ児ですが、それでいて言葉使い、物腰、いかにも謙遜で少しも高ぶったところがない。私はいうまでもなく、まだ無名の人間、世に売れている人たちの仕事場などに比べては見る蔭もないほどの手狭な処、当り前ならば、こっちから辞を低くして訪問もすべきであるのを、気軽に此所へわざわざ訪ねて来てくれられた人の心も嬉しいと、私は茶など入れ、菓子などはさんで待遇す。