Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

あらしの中の脱獄

「曲者ッ、待て?」

といったところで、まげ節を縛られた四人は、からみ合い、ころがりあうだけで、下男がお勝手から灯をもってくるまでは、どうすることもできなかったのです。

あらしの中の脱獄

風と雨と、いりみだれた大嵐は、春の夜の江戸のまちを、地獄の底へたたきこむかと思うばかりでした。

人びとは、恐れおののいて、深くふかく戸をとざし、虫のようにちぢこまり、灯ひとつない八百八町の家の棟をつんざいて、ときどきむらさき色のいなずまがはしるのです。

そのまっただ中を、「それゆけ」「今のうちだ」と、天魔太郎、妹月子、それにお千代と虎吉をくわえた少年少女四人に、大猿の次郎坊一匹、伝馬町の大牢へと、嵐のなかをおよぐようにたどりつきました。

「お千代さんのご両親のいらっしゃるのはどこだろう?」

牢は大きく、囚人は多勢でした。むやみに牢をひらいて、兇悪な曲者を町にはなっては、世の人のめいわくが思いやられます。

ハタと当惑して立ちすくむ天魔太郎のうしろから、

「良いことがある。ふだんは店中のめいわくにされていたが、こんなときは、なんかの合図になるかもしれない。これを吹いてみよう」