Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

中老出雲のお筆は、首うなだれて、そっと涙をふきました。

「しらなかったじゃすまないぜ、お筆さん。少しぐらいの手おちやそそうじゃない、おまえさんはむほん人の片棒をかついだんだぜ。どうせないいのちなら、ここでいさぎよく自害でもしてくれたら、お上にも手加減があって、せめて増田屋の店だけでもたってゆくだろう――」

「――――」

「わるく思ってくれるなよ、お筆さん、……親類会議をひらいておまえさんに死んでもらうことにとりきめたんだ――なアみなの衆」

庄兵衛は冷たい顔をねじむけて、親類たちの顔をみわたしました。

「――――」

が相手の親類たちは、答えるものもなく、顔を見合せてだまっております。

「このとおり、ひとりも異はないようだ。あすという日は、お上からどんなお達しがあるかわからない、善はいそげだ。このとおり用意までしてあるが――」

庄兵衛はそういいながら用意の三宝のうえの白い布をとりはらいました。その下からあらわれたのは、細身の女持短刀がひとふり、なみいる親類方も、さすがにかたずをのみますが、店の外にあかあかと燃えるカガリ火や、役人小者のザワめく声をきくと、すすんでお筆の自害をとめる勇気もくじけます。