Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate
「なにものッ?」
伊豆守は、五臓六腑をふりしぼるような心持で、ようやく口をききました。
「ごらんのとおり、この世のものではございません。殿さまの宿業のおそろしさにご殿もご家来も、一しゅんにして水のそこに沈んでしまいました。が、松平伊豆守さまおひとりは、つぐないのこした罪のざんげのため、しばらく水の上に浮んでいるのでございます」
「なんと申す。予になんの罪があるというのだ」
伊豆守はぼう然と、床の上におきなおりました。ふしぎに床は、筏のごとく水に浮いて夜の水はヒタヒタと伊豆守の白ムクの寝巻の膝をひたします。
「いうな、島原で十万のキリシタン宗徒を殺し、駿河大納言忠長さまを、上州高崎に窮死せしめたは、ことごとくその方――伊豆守信綱のさしがねではないか」
もう一匹の人魚が、黒髪をさっと水になびかせて、反対がわの左から肩をだします。
「ぶれいッ」
智恵伊豆も、さすがに腹をすえかねました。プカプカと水に浮いている刀かけに手をのばして、それを引きよせざま引きぬこうとすると、
「まア、殿さま、おはらだち」
明るい嘲笑をあびせて、二匹の人魚は、水のうえにとびあがりざま、伊豆守の左右の腕をピタリとおさえたのです。