Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

「上さまのおすがたがいくつにも見えております」

「なんともうす。そんなバカなことがあろうか」

松平伊豆守は口小言をいいながら、お小姓についてゆくと、上段の間にげんぜんとかまえた将軍家光のすがたが、右にも左にも、三人まで、おなじ顔、おなじ態度おなじ服装で、すわっているではありませんか。

お膳部がかりのお小姓たちがキモをつぶしたのもむりはありません。かぞえてみると、そこにいばっている家光は三人、どの家光のまえへお膳をすえていいか、見当もつかなかったのです。

「おそれながらもうしあげます。いずれが上さまでいらっしゃいましょうか」

松平伊豆守はおそるおそるご前に平伏しました。

「なにをもうすのじゃ。余が家光じゃ」

右のはしの家光が、何がなにやら、わけのわからぬようすでこたえると、

「なにをもうすのじゃ。余が家光じゃ」

まん中の家光も、おなじ調子、おなじ声でくりかえすのです。

「お三人、いずれがいずれとも、お見分けいたしかねますが、さいしょにものをおっしゃったのを、まことの上さまとぞんじます。なにとぞこちらへ、御座をうつされますように」

松平伊豆守は、すすみいでて右がわの家光をうながし、お手をとらぬばかりにして、別室に案内しました。