Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
お向いの三枝さんのところでも、毎年の例で奥さんだけお一人お残りになっていらしったので、話し相手もあり、心丈夫でもあるので、爺やに飯を炊いて貰ったり風呂を焚かせたりして、いかにも気楽そうにしてお暮らしになっていました。
「ところが或日のこと、三枝さんの奥さんがもうそろそろ引き上げる準備に、女中を相手に日あたりのいいヴェランダにふとんのカヴァや何かを干していると、向うのもう大かた花の無くなった豆棚から日向さんの奥さんが不意に姿を現わし、それを見ると、何か気がかりな様子でこちらへ近づいて来て、
『もうお引き上げなの?』と尋ねました。
『いいえ、まだもうすこし居たいと思っているのだけれど……』そう三枝さんは答えました。
『いまのうちにぽつぽつと片しておかないと、雨でも降り出したらと思うものだから……』
『そうね。私の方もそろそろ帰ってやらないと圭子も困っているらしいの』と日向さんも言って、それから急に声を低くして、「だけど、実は困ってしまっているのよ。うちの爺やがなんだか体の具合が悪いようなの。この頃は胸が痛いって、お粥ばかり食べているのよ。熱もあるようなので、寝ていろって幾ら言っても言うことをきかないで、一日じゅう何かしらやっていては、夜など私の知らない間にこっそりとお酒なんぞ飲んでいるんでしょう。