Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
――その噂は私をどきりとさせた。「母親というのはそんなものかなあ……」とそれから私はそれを胸を一ぱいにさせながら考え出していた。――或る日、私はその小さな村を真ん中から二等分している一すじの掘割に、いくつとなく架けられている古い木の橋の一つの袂に、学校帰りらしい村の子供たちが一塊りになっているのを認めた。私が何気なくそれに近づいて行くと、環のようになっていた子供たちがさっと道を開いた。見ると、その子供たちに取り囲まれているのは、襤褸をまとった、一人の五十ぐらいの女だった。髪をふりみだし、竹で出来ている手籠のようなものを腕にぶらさげていた。その中には何んだかカンナ屑のようなものが一ぱい詰まっているきりだったが、それがその女には綺麗な花にでも見えているのかも知れないと思えるほど、大事そうにそれを抱えているのが私を悲しませた。のみならず、その籠には何処か孔でもあいていると見えて、その女の歩いてきた跡には細かいカンナ屑がちらほらと二三片ずつ落ち散っていた。その女はしかし、そんなものも、それから自分を取り囲んでいる村の子供たちをすら殆んど認めていないような、空虚な目つきで、じっと自分の前ばかり見まもりながら、いかにも上機嫌そうに、ふらりふらりと歩いていた。