Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
Leggi 幽霊と推進機 (ゆうれいとスクリュウ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.905 caratteri · 24 schermate
私は慌てて扉を押えながらシッカリと閉め直したが、その片手間に室内を振り返ってみると……ギョッとした。
腰が抜けるとはあんな状態をいうのであろう。扉の把手を後手に掴んでヤッと身体の重量を支えた。
二人の水夫が又来ている。ほの赤いランタンの光りの中に、菜ッ葉色の作業服がハッキリと浮き出している。何もかも先刻の通りの姿で、しかも一人の水夫の片腕がブランブランになっているのが幽霊以上の恐ろしいものに見えた。
五連発を取出す間もなく二三歩進み出た私は、何やら狂気のように大喝した。すると二人は、無言のまま私の左右を通り抜けて扉の方に行った。それと同時に私は無我夢中で室の奥に突進して、今まで二人が立っていた寝台の前に来た。
入口に並んだ二人は、私の顔にマトモな冷たい一瞥を与えた。それから頬に傷をした水兵が、最前の通りに妙な、笑顔とも付かない笑顔を見せながら、静かな声で云った。
「この船はモウ沈みます。船長が馬鹿だったのです」
私はその言葉の意味を考えたが、そのうちに二人は、今閉めたばかりの扉を、音もなく開いて出て行った。
私も続いて出た。氷嚢を掴んで悶え狂う水夫長を手早く閉め込んで鍵をかけた、氷のような汗がパラパラと手の甲に滴り落ちた。