Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にじ

彩虹

山本 周五郎

Leggi 彩虹 (にじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.898 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

「わたくし、お受け申しますとお返辞を致しました」

「おれはその通り脇田へ伝えた」

「脇田さまはなんと仰せでしたの」

「すぐ正式に人を立てて縁組をすると云っていた」

「なんのお話もございませんわ、それらしいお人もみえず、そういうおとずれもございませんでした」

伊兵衛の脳裡に、その刹那ふと宗之助の逞しい顔が思いうかんだ。桃園の庭で自分を捻じ伏せながら、勝ち負けを執拗に追究した顔、それから忽然と変った不敵な笑い顔が、……その一種特別な笑い顔が、今なにかを伊兵衛の心に叩きつけるようだった。

「それは本当だな」

「それでわたくし、お伺い申しました」

「家へ帰っておいで」

伊兵衛は抱き緊めるような眼でさえを見た。

「……あとでゆく」

「脇田さまへおいでになりますのね」

「他にも用があるんだ」

「こんどは」

と、さえは燃えるような眼で伊兵衛を見た。

「……こんどは、お断わり申しても宜しゅうございますわね」

「いやそれは待って呉れ、おれが会って」

「いいえ」

さえは屹と頭を振った。

「……わたくしあれからずいぶんいろいろなことを考えました。そして半年のあいだ待っていましたのは、ただ脇田さまからの縁談だけでございませんでした、頼三郎さま」