Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate

Aozora Bunko

二つの首

影男の速水は、テーブルに紙をひろげて、千代に鉛筆を渡した。彼女が考え考え、見取り図を書き終わると、速水は要所要所の質問をして、屋敷のもようをすっかり頭に入れてしまった。

「これでよし。さあ、ぼくは忙しくなるぞ。いろいろ準備がいるからね。じゃあ、ふたりとも、さようなら」

かれはニコニコして立ち上がった。千代がさきに、良子はあとからドアを出たが、そのとき、影男は、千代に知られぬように、良子の腰に手を回し、すばやい接吻をかわすことを忘れなかった。

二つの首

その夜一時、川波家の庭園に、黒い影が動いていた。月も星もないまっくらな夜だった。黒い影はへいをのりこしたらしく、夜の木立ちのあいだをくぐって、裏のほうへ回っていった。そのものは、黒の覆面で頭部全体をおおい、二つの目と口のところだけに、穴があいていた。からだには、ぴったりくっついた黒のシャツと、ズボン下を着て、黒い手袋、黒いくつ下、黒いくつをはいていた。いうまでもなく、やみ夜の保護色を装った影男である。

庭園には大小の樹木が森のように茂っていた。二カ所ほど常夜灯がついているけれど、木の葉にさまたげられて、遠くまで光は届かない。