Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
Leggi 影男 (かげおとこ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 154.133 caratteri · 310 schermate
ふたりはうっそうと茂った林の中を、おもやのほうへ引っ返しはじめた。あたり一帯は寂しい場所なので、街灯は遠くに立っているばかりだし、なんの光もなく、自動車の警笛も聞こえず、まるで山の中でも歩いているような気持ちだった。
「なんだか変だな。今まで、ぼくはそれを一度も聞いていない」
影男の佐川春泥が、何か思い出したようにつぶやくのが聞こえた。
「え、なんです。なんとおっしゃった?」
「その人は、いったい、どういう人物なんだね」
「その人って?」
「きみの会社が依頼されている人物、つまり殺される人物さ」
「ああ、そのことですか。わしもいうのを忘れてましたがね、実に恐ろしい相手です。悪知恵にかけては、まず天下無敵でしょうね。その男は、いくつも名まえを持ってましてね、まるで想像もつかないような別人に化けて、悪事を働いている。まあ悪質なゆすりですね。不正な金もうけがうまいこと驚くばかりです。それに、実にすばしっこくてね、まだ一度もつかまったことがないというやつです。あんた、そいつは小説家にさえ化けるんですよ」
小男の須原は、やみの中でクスクス笑った。
「なんだって? それじゃ、まるでぼくとそっくりじゃないか」