Classici giapponesi con furigana
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ふくしゅう
復讐
夢野 久作
Leggi 復讐 (ふくしゅう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.695 caratteri · 46 schermate
あのS岳峠の一本榎という平地の一角に在る二丈ばかりの崖から、谷川に墜ちて死んでいる実松氏の屍体を、夜が明けてから通りかかった兎追いの学生連中が発見して、村の駐在所に報告したので、大騒ぎになったものだそうで……死因は谷川に墜ちた際に、岩角で後頭部を砕いたためで、外には些しも異状を認められなかったそうです。これはその屍体を診察した養父の話ですがね……」
「成る程……しかし屍体以外には……」
「屍体以外には、ポケットの中に油紙に包んだ巻煙草の袋と、マッチと、焼いた鯣が一枚這入っていたそうで、弁当箱の中味や、水筒の酒も減っていなかったそうです。……それからもう一つ胴巻の中から、二円何十銭入りの蟇口が一個出て来たそうですが、それが天にも地にも実松家の最後の財産だったそうで、源次郎氏がどこにか隠していた筈の現金は、あとかたもなく消え失せていたそうです。……尤もこれは事件後に村外れに在った源次郎氏の自宅を土台石まで引っくり返して調べた結果、判明した事実だそうですが……」
「成る程……それで殺人の動機が成立した訳ですね」
「そうなんです。尤もお金の多寡はハッキリわかりませんがね……それから、もう一つ重要なのは、屍体の左手にシッカリと握っていたレミントンの二連銃の中に、発射したままの散弾の薬莢が二発とも残っていた事だそうです」