Classici giapponesi con furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Leggi 微笑 (びしょう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.911 caratteri · 50 schermate
実に静静とした美しさで、そして、いつの間にかすべてをずり落して去っていく、恐るべき魔のような難題中のこの難題を、梶とて今、この若い栖方の頭に詰めより打ち降ろすことは忍びなかった。いや、梶自身としてみても自分の頭を打ち割ることだ。いや、世界もまた――しかし、現に世界はあるのだ。そして、争っているのだった。真理はどこかになければならぬ筈にもかかわらず、争いだけが真理の相貌を呈しているという解きがたい謎の中で、訓練をもった暴力が、ただその訓練のために輝きを放って白熱している。
「いったい、それは、眼にするすべてが幽霊だということか。――手に触れる感覚までも、これは幽霊ではないとどうしてそれを証明することが出来るのだ。」
ときには、斬り落された首が、ただそのまま引っ付いているだけで、知らずに動いている人間のような、こんな怪しげな幻影も、梶には泛んで来ることがあったりした。われ有るに非ざれど、この痛みどこより来るか。古人の悩んだこんな悩ましさも、十数年来まだ梶から取り去られていなかった。そして、戦争が敗北に終わろうと、勝利になろうと、同様に続いて変らぬ排中律の生みつづけていく難問たることに変りはない。