Classici giapponesi con furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Leggi 微笑 (びしょう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.911 caratteri · 50 schermate
」
「そこですよ。」栖方はひどく乗り出す風に早口になって笑った。「おれのは、みんなそこからです。誰一人分ってくれない。この間も、それで喧嘩をしたのですが、日本の軍艦も船も、みな間違っているのです。船体の計算に誤算があるので、おれはそれを直してみたのですが、おれの云うようにすれば、六ノット速力が迅くなる、そういくら云っても、誰も聞いてはくれないのですよ。あの船体の曲り具合のところです。そこの零の置きどころが間違っているのです。」
誰も判定のつきかねる所で、栖方はただ一人孤独な闘いをつづけているようだった。殊に、零点の置きどころを改革するというような、いわば、既成の仮設や単一性を抹殺していく無謀さには、今さら誰も応じるわけにはいくまいと思われる。しかし、すでに、それだけでも栖方の発想には天才の資格があった。二十一歳の青年で、零の置きどころに意識をさし入れたということは、あらゆる既成の観念に疑問を抱いた証拠であった。おそらく、彼を認めるものはいなかろうと梶は思った。
「通ることがありますか。あなたの主張は。」と梶は訊ねた。
「なかなか通りませんね。それでも、船のことはとうとう勝って通りました。