Classici giapponesi con furigana
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びしょう
微笑
豊島 与志雄
Leggi 微笑 (びしょう) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.995 caratteri · 43 schermate
S――駅で一緒になると、互に一種の親しい眼付きを交わした。電車の中でも、友人同志のように親しく相並んで腰を掛けることが多かった。上野で下りると、互にどちらの方向へ向って帰ってゆくかをはっきり知っていた(私は山下を右へ、彼は真直に広小路の方へ)。それでいて言葉を交えたことは一度もなかった。
痩せ形の背の高い男で、いつもよく雪駄をはいていた。眉が濃く短く、光りの鈍い円みを帯びた眼には何処か低能らしい趣きがあったが、高い鼻と小さな口とは上品だった。その口には小供らしい愛嬌があって、屹度舌ったるい声が出そうに思われるのだった(そしてそれは実際であった)。眼鏡もかけていず、口鬚も伸していなかった。そしてそういう顔立を、下細りの頬の輪廓がとり巻いていた。※(「臣+頁」、第4水準2-92-25)が心地よく細っていて、額が広かった。少し離れてみると、顔の上半分に遊惰と低能との趣きがあり、下半分に女好きのする魅力が漂っていた。いつも毛皮の襟のついた二重まわしを着て焦茶のソフトを被っていた。ステッキは持っていなかった(私はいつもステッキをもっていた)。後に知ったことであるが、頭髪は角刈りにしていた(私は髪を伸していた)。