Classici giapponesi con furigana
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わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Leggi 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 193.050 caratteri · 383 schermate
近藤夫人のいまの旦那は普門院の住職だということだが、以前は富豪な外人の洋妾であったという。子どもまで産んだので、その外人が本国へ帰るさいに、一生涯の養育費と生活を保証してゆき、お蔭でいとも安楽に暮しているという婦人であった。
外人との間にできた子は、その頃もう十七、八になってい、エリザベス女王型の美人であった。ぼくたちは「オテイちゃん、オテイちゃん」と馴れッこく呼んでいた。オテイちゃんは洋装したことがなく、いつも袂の長い和服を着ていた。背が高いので、帯附きもよく似合う。「あれで、あいの子でなければ」と、云う人もあった。
オテイちゃんは陽気な性で、オテイちゃんがわが家へ来ると、母も日頃の苦労顔をどこかへやって笑いこけるし、家中がオテイちゃんにつりこまれて陽気になった。
オテイちゃんには一人の妹がある。ふみちゃんといった。ふみちゃんはぼくと同級生であり、気だても姉とは正反対に内気にみえる。そしてこの妹の方は、近藤夫人のいまの旦那の子であると聞かされていた。そう聞くと、どこかお坊さんの子くさい所もあった。けれどぼくは、おない年でもあり、ふみちゃんとよく遊んだし、また少年期の初恋みたいなものをほのかに抱いていた。