Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わすれのこりのき
忘れ残りの記
吉川 英治
Leggi 忘れ残りの記 (わすれのこりのき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 193.050 caratteri · 383 schermate
それは皆、ほツそりしていて、色が浅黒く、髪の毛がちぢれている。
性情としては、ぼくは男らしい方でなく、父からも友達からもよく「泣き虫」といわれていた。自分では理由なく泣いているつもりはないが、すぐ瞼を赤くするくせがあったのだろう。もっとも、古典などを読んでいても、書物をぐッしょりにするほど独りで泣いた覚えは数えきれないほどだった。芝居を見ても、頭が痛くなるほど泣くのであった。少年的感傷が人いちばい強かったものと思われる。それと又、ぼくは人知れない空想癖を持っていたようである。空想の中に自分をおいて、空想の中に自分を思うまま遊ばせてみるのが好きであった。だからぼくは少年の日から、少年がいやがる留守番というのは、好きであった。広い家のなかで一人か二人で留守番していると、ほしいままに空想し、その空想の中で飽かず遊んでいられるからであった。
どんな好きな少女にでも、自分から近づこうとしたことは一度もない。臆病であった。行き会えば、わざと素知らない顔をした。異常な胸さわぎと、行き交いの風の匂いを持って帰るだけだった。そしてその少女を空想の中に持ちこんで、自分の思う儘の、また描くままの境地において、共に愉しむことを頭のなかでしていた。