Classici giapponesi con furigana
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おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Leggi 思い出の記 (おもいでのき) di 小泉 節子 (こいずみせつこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.841 caratteri · 62 schermate
日本服でも洋服でも、折目の正しいのは嫌いでした。物を極構わない風でした。燕尾服は申すまでもなく、フロックコートなど大嫌いでした。ワイシャツや、シルクハット、燕尾服、フロックコートは『なんぼ野蛮の物』と申しました。
神戸から東京へ参ります時に、始めてフロックコートを作りました。それも私が大層頼みましてやっとこしらえて貰ったのでございます。『大学の先生になったのですからフロックコートを一着持って居らねばなりません』と申しますと『ノウ、外山さんに私申しました。礼服を私大層嫌います。礼服で出るようなところへ私出ませんが、宣しいですかと云いました。それで宣しいですと外山さんが約束しましたのですから、フロックコートいけません』と云うのです。しかし漸く一着フロックコートを作りましたが、それを着けましたのは、僅かに四五度位でした。これを着る時は又大騒ぎです。いやだいやだと云うのです。『この物、私好きない物です、ただあなたのためです。いつでも外にの時、あなた云う、新しい洋服、フロックコート、皆私嫌いの物です。常談でないです。本当です』など云っていやがりますけれど、私は参らねば悪いであろうと心配しまして、気の毒だと存じながら四五度ばかり勧めて着せました。