Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate

Aozora Bunko

「現に人払いをしていながら、肝心の点に及ぶと城代の耳へ口を持っていって私語したという、ではいったい人払いはなんのためであるか、実にその狡猾さというものは」

「いや狡猾なのは寧ろそのあとの振舞」と井上角兵衛が卵焼をのみこんで云った、「――お廊下で迷ったふりをとりつくろい、うろうろ致し、わざと暴言を吐き、そして御台所へ紛れ入って料理人と悪ふざけ」

「そのとき魚を割いてみせたそうですな、私は聞いただけですけれども、これなどは、いかに彼が肚黒い人間であるかという一例だと思うのですがな」

「そこで対策なんであるが」

六平太はまた焼き鯛をねめつけ、その眼を列席の人々へ向けながら議題を進めた。

「相手がそこまで深慮遠謀で来るとすれば、こちらも単に買収などという手で安心はしておられない、むろん買収の網も掛けるが、喧嘩を仕掛ける手、酒色の餌なども案外な効果をあげるかもしれぬと思う、……これは、酒色について彼がいかなる嗜好を持っておるか、という点をまず仔細に調べなければならぬが」

「彼は近く御役に就くそうですから、その方面で失脚させる法も考慮すべきでしょう」

「兄の石仏を利用する手もあり得るですな」