Classici giapponesi con furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate
三の一
「しっ、しっ、そんな声を出さないで呉れ」泰三は手で相手を押え、声をひそめて、「――まことに済まない、あやまる、実は大きな声では云えないんだが、あれから使いにいったさきで喧嘩になってね、向うの家へはいろうとしていたときなんだが、詳しいことは省くが、いやに向うばりの強い野郎で、やるか、よしっていうわけさ、五人いたっけが一人ちょいと強かった、このとおり瘤をこさえちゃったんだが、気持のいいやつらで、あとはさっぱり手を握り合ってね、そういうわけで原っぱのほうはつい忘れちまったと云っては悪いが、そうするとつまり……みんな原っぱで待ってたのかい」
「逃げ口上はたくさんだ、表へ出ろ」
「そうだ表へ出ろ」うしろにいた仲間が口々に叫んだ、「――果し合の約束を破るとは卑怯なやつだ、それでも武士か、恥を知れ」
「そんな高い声で、そんな」
泰三は両手でかれらを制止しようとしたがすでにそのとき右衛門がそこへ出て来ていた。
「なんだそうぞうしい、なに事だ」
「決闘です」本多孫九郎が昂然と叫んだ。
「武士と武士との決闘です、失礼ですが御老職は口を出さないで下さい」
三の一
玄関から戻って来た右衛門の顔にはちょっと複雑な表情があらわれていた。