Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate

Aozora Bunko

三の二

……四人は暫くは身動きもしなかった。そしてやがて、姉の千賀がほっと太息をついて恍惚としたように泰助を眺め、それから母のほうへ振返って、胸の中からなにか溢れてでも来るように囁いた。

「――ほんとうになんという違いようでしょうねえお母さま、御兄弟でいながら……こんなにお兄さまはお静かでおちついていらっしゃる、ほんとうになんという違いでしょう」

「ええなんという、なんという」津留は躯をくねくねとくねらかして、姉の声をそっくりまねて云った、「――ほんになんというお静かな、石のような、木像のような、ええへへへ」

山羊のような声で笑って、すばやくそこから逃げだしていった。

三の二

泰三は勘定奉行所の仕切方という役目に就いた。今でいうと支出係に当るものらしい。十月初旬に仰せ付けられたのであるが、初めて登城した日は多忙であった。まず勘定奉行の元田東兵衛から、以下役所の関係筋へ挨拶まわり、およそ十二三人に会ったろう。そのたびごとに机に蹴つまずき、湯沸しをひっくり返し、対立を押し倒し、襖障子を破り、また机に蹴つまずきといったぐあいで、どこへいっても「わっ」とか「あ大変」とか「ひやっ」