Classici giapponesi con furigana
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おもいちがいものがたり
思い違い物語
山本 周五郎
Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate
もう比べ物のないくらい猛烈で、わたくし躯じゅうがじいんと痺れるようになるんですけれど、そんなあとは水でも浴びたようにさっぱりして、歌でも唄いたいようなうきうきした楽しい気持になったものですわ、本当にあのじぶんのことを思うとこの頃は」
「もうたくさんよ、いいかげんになさい」
母親はたいがい狼狽するだろうし、顔も赤くならざるを得ないだろう。
「――なんという人でしょう、そんなことを聞いていたりして恥ずかしくないんですか」
「恥ずかしいのはお母さまでしょ、わたくし聞いていたんじゃなく聞えて来たんですもの、お母さまとッても嬉しそうに話していらしったでございますですわア」
右のようなわけからして、津留の舌が活動を始めるときは、原則として母も姉も黙ることにしている。父の右衛門でさえも、よほどの事でなければ抗弁はしない。それほど頭がいいというのでもないらしいが、勘が敏速で口の達者なこと、白を黒と云いくるめる巧みさと、云いくるめるまでの精力的なねばりの強さとは無敵であった。
津留が花嫁候補を棄権してから、典木泰助についての世評はしだいに低下していった。石の仏とか、薄ぼんやりとか、昼の蝋燭とか、いろいろな蔭口が弘まった。