Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おもいちがいものがたり

思い違い物語

山本 周五郎

Leggi 思い違い物語 (おもいちがいものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.840 caratteri · 88 schermate

Aozora Bunko

ました、ところがです」

泰三は舌に湿りをくれ、傍らの古帳簿を取って披きそれを前方へ押し出しながら云った。

「ところがさに非ず、これがみな納戸奉行の別会計にはいって、特別御用金に宛てられているのです、その中から公用として、使途の明白でない金も相当に出ています。が、そんなものはどうでもよろしい、この特別御用金の計上額を合算すると、さきに申上げた二十一万七千六百幾らという数になるので、……その責任者は代々の納戸奉行と、各奉行役所の主任主事ということになっているのです、つまり、殿のお手許へ呈出しました名簿、今日この席へ出ました四十三名が、それだけの金額に対する責任者であります、中には死去した者もおりますが、それはその子が責任を継承するわけでしょう、例えば十四年前の納戸奉行は野村吉兵衛で、これはそこにいる吉太郎が引受ける、また橋本三左衛門はその子の三郎兵衛が……」

列席する人々のうち曽てその職に在った者、または心に覚えのある者は、――現在の不当利得者はもちろん、――野村吉太郎一派の清直廉潔派までが、いちように色を喪い声をのんだ。泰三は記録と帳簿の事実によって、老臣たちが藩主の財産をひそかに蓄積した苦心、その巧みにして緻密な努力を率直に褒めたたえ、