Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

Leggi 怪奇人造島 (かいきじんぞうとう) di 寺島 柾史 (てらしままさし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.159 caratteri · 87 schermate

Aozora Bunko

「またそんなことを云う。この風船は、四人の人間を乗せることが出来ないのだ。君たち二人が乗っても、危険なくらいだ。が、この船で死ぬよりか、ましだとおもって乗りたまえ」

「でも」

「まだ躊躇するか。いかん。せっかく充填した圧搾空気が効力を失い、浮揚力を失ってしまうじゃないか。それ、もっと圧搾空気を填めろ」

ふたたび、圧搾空気を、風船に填めた。

「さあ、一刻もはやく、ハンモックに乗りたまえ」

「…………」僕等は、もう拒むことも出来ず、ハンモックに乗った。

「博士、では」

「先生! きっと迎えに参りますよ。それまで生きていてください」僕等が、涙ぐみながら、口々に叫んだとき、船橋の根元の柱に縛りつけてあった麻縄を、怪老人は解いた。おお、果して、この不完全な風船は、大空に浮き上った。

「博士。さよなら」

「先生! 御壮健で……」あとは涙。甲板上の二老人も、両眼に涙を湛えて、

「おお、元気な日本の少年よ。中国の少年よ。必ず祖国へ帰れよ」

「圧搾空気は瓦斯のようなわけにはいかぬから、やがて風船の浮揚力は失うが、それまでにこの魔の海を脱れ出るがよい。運命の風よ。強く吹け」口々に叫びながら、多難な前途を案じ顔だった。