Classici giapponesi con furigana
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こいのでんしちろう
恋の伝七郎
山本 周五郎
Leggi 恋の伝七郎 (こいのでんしちろう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.650 caratteri · 60 schermate
癇癪持ちの、いつも口をしちむずかしく片方へ歪めているという風の人だった。長兄の平助は納戸役、次兄の門之助は中小姓とそれぞれ役に就いているし、妹の浪江はすでに他へ嫁しているが、伝七郎だけは二十五歳でまだ部屋住だった。単に部屋住というだけならさしたることもないが、彼は恵まれない生れつきで、男振りもはえないし学問も武芸もできず、口が下手で愛嬌がないという、まことにうらさびしい存在であった。これがもっと身分の軽い家に生れていたらなんでもないのだが、なにしろ藩の中老の伜だから人眼についた。殊に二人の兄が父に似て権勢慾の強い、利己主義な、それだけに頭もよく、いわゆる切れる人間に属していたから、彼の無能はいっそう際立ってみえた。それを更に効果的にしたのが村松銀之丞であるが、両者の関係を語るには十六七年ほど昔へ遡ぼらなければならない。……永井家の屋敷は大手筋の端にあり、すぐ裏が足軽の組長屋になっている。そこに足軽組頭を勤める村松庄兵衛という者がいた。銀之丞はその子である。幼年じぶんから容貌のきわめて秀麗な、恐しく才はじけた性質の、眼から鼻へぬける