Classici giapponesi con furigana
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こいをこいするひと
恋を恋する人
国木田 独歩
Leggi 恋を恋する人 (こいをこいするひと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8195 caratteri · 17 schermate
柔和な、どちらかと言えば今少しはハキハキしてもと思わるる程の性分で何処までも正直な、同情の深そうな娘である。肉づきまでがふっくりして、温かそうに思われたが、若し、僕に女房を世話してくれる者があるなら彼様のが欲しいものだ」
それならば大友はお正さんに恋い焦がれていたかというと、全然、左様でない。ただ大友がその時、一寸左様思っただけである。
四年前、やはり秋の初であった。大友がこの温泉場に来て大東館に宿ったのは。
避暑の客が大方帰ったので居残りの者は我儘放題、女中の手もすいたので或夕、大友は宿の娘のお正を占領して飲んでいたが、初めは戯談のほれたはれた問題が、次第に本物になって、大友は遂にその時から三年前の失恋談をはじめた。女中なら「御馳走様」位でお止になるところが、お正は本気で聞いている、大友は無論真剣に話している。
「それほどまでに二人が艱難辛苦してやッと結婚して、一緒になったかと思うと間もなく、ポカンと僕を捨てて逃げ出して了ったのです」
「まア痛いこと! それで貴下はどうなさいました。」とお正の眼は最早潤んでいる。
「女に捨てられる男は意気地なしだとの、今では、人の噂も理会りますが、その時の僕は左まで世にすれていなかったのです。