Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

Leggi 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.075 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

夜となく昼となく、彼は対手の残酷な復讐に対する返り討ちの手段のみを考えた。

それは可成困難な仕事だった。第一、対手が誰であるか、それすら分らなかった。北川氏は越野氏が火事場で野本氏に逢った様に話したけれど、あれも作りごとだった。なる程、越野氏は見覚えのある男に逢ったと云った。そして、その男が如何にも彼の目を怖れる様に人混みの中へ隠れて了ったとも云った。

それが誰であったか、越野氏はよく見別ける暇がなかったのだった。

「何でも、学校時代に親しく往き来した友達の一人なんだ。何にしろ、あの騒ぎで、気が転倒している際だったから、ハッキリしたことは云えないが、野本か、井上か、松村か、つまり、あの時分君の書斎へよく集った連中の一人だと思うんだがね。野本のようでもあり、井上の様でもあり、そうかといって、松村でなかったとも断言し兼ねるが……とも角その三人の中の誰れかに相違ないのだけれど、どうしても思い出せない」

越野氏はこんな風に云った。

先ず相手から探してかからねばならないのだった。若し、間違った対手に復讐する様なことがあったら、取り返しのつかぬことになる。それに、仮令対手が分ったとしても、余りに巧妙な遣り口にどうにも手のつけ様がないではないか、北川氏自身野本氏に白状した通り、それは絶対に証拠のない犯罪だった。