Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おそろしきさくご

恐ろしき錯誤

江戸川 乱歩

Leggi 恐ろしき錯誤 (おそろしきさくご) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.075 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

彼は漸く我に返った様に、今度は方向を定めて歩き出した。

一日の興奮で疲れ切ったからだを、郊外電車に揺られながら、家にたどりつくと、彼はもう何をする気にもなれなかった。すぐに床をとらせて、ぐったりと横になると、間もなく、快い鼾声が、今日の勝利に満足し切った彼の喉から、ゆったりしたリズムを以て、洩れて来るのだった。

翌日、北川氏が眼を醒したのは、十時に近い頃だった。熟睡の後の快い倦怠が、彼を殊更らいい心持にした。彼は起上ると、寝衣のまま書斎へ入って行った。そこには甘い回想の材料が彼を待っていた。野本氏の手に残して来たのと寸分違わない、二つの金メダルが、書物机の抽斗の中に待っていた。

彼はそれを取出して愛撫する様に眺めるのだった。

始めの計画では、野本氏の所ばかりでなく、井上氏や、松村氏の所へも、それを残して来る積りだった。若し三人の内、誰が犯罪者だか判別しかねる様な場合には、どうしても一人に一つ宛メダルを残して来る必要があった。そういう積りで、彼は態々高価な摸造品を二つまで作らせたのだった。

併し、前にも云った様に、野本氏の外の二人はメダルを取出すまでもなく見分けがついた。