Classici giapponesi con furigana
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate
ゴリラは柄にもなく揉手をせんばかりである。
「で、娘はどこにいるのだね」
「ここでございます。この襖の向うでございます」
ゴリラは襖に手をかけて開こうとした。
「見た所君一人の様だが、大丈夫かね。わしが娘を受取って、金を渡さずに帰るという様な場合を考えて見ないのかね」
布引氏はふと相手をからかって見たくなって云った。
「ヘヘヘヘヘヘヘ、そこに抜かりがあるものですか。私一人の様に見えて決して一人じゃありませんからね。その襖の中には、お嬢さんの外に、よく御存知の男もいるのですよ。ヘヘヘヘヘ、それにあなたが警察には内密で、紳士らしくたった一人で、ここへ御出でになったことも、ちゃんと偵察してあるのですよ」
「フフン、流石に悪党だね。だがわしの方にも、いささか用意があるぜ。若しわしをペテンにかけて娘を渡さない様なことがあれば、ホラ、これを見給え。わしは射撃にかけては、これで仲々名人だからね」
布引氏は用意のピストルを出して見せた。
「イヤ、どうしまして。ペテンにかけるなんて滅相な。わたしの方も大切な取引ですからね。そのお得意様をだます様な不心得は致しませんよ。……では、どうか」