Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きょうふおう

恐怖王

江戸川 乱歩

Leggi 恐怖王 (きょうふおう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 66.038 caratteri · 133 schermate

Aozora Bunko

あれは殺されたのですか」

伯爵夫人が、もう泣き声になって、わめき立てた。

「イヤ、僕もすっかりは知らないのです。ただ……」

「ただ、どうだとおっしゃるのです」

「ただ、ある所で京子さんの右の腕を見たんです。確に見覚のある、お嬢さんの手首を見たんです。肘の所から切落された腕丈けを」

「マア!」

と叫んだ切り、夫人はあとを云う力もなくグッタリと椅子に倒れて、顔を押えてしまった。

「それはどこです。まさか出鱈目じゃないでしょうね」

伯爵も上ずった声である。

「僕の思違いであってくれればいいがと、心も空にお邸へかけつけたのです。併し、この血の様子ではあれはやっぱりそうなんだ。京子さんは『恐怖王』にやられたんだ」

「エ、エ、君は今何と云ったのです。誰にやられたんです」

「恐怖王。御存知でしょう。今世間で騒いでいる殺人鬼恐怖王です。そのお嬢さんの腕には『恐怖王』と入墨がしてあったのです」

その途端、「クウ」という様な奇妙な声がしたかと思うと、伯爵夫人の身体が、バッタリ椅子からくずれ落た。余りの驚きに気を失ったのだ。

そこで女中や書生を呼ぶやら、気つけの洋酒を呑ませるやら、大騒ぎになったが、夫人は間もなく意識を恢復して、やっぱり怖い話を聞きたがった。