Classici giapponesi con furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Leggi 悪獣篇 (あくじゅうへん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.715 caratteri · 73 schermate
奥さんは何も知らず、銑太郎なお欺くべしじゃが、あの、お松というのが、また悪く下情に通じておって、ごうなや川蝦で、鰺やおぼこの釣れないことは心得ておるから。これで魚屋へ寄るのは、落語の権助が川狩の土産に、過って蒲鉾と目刺を買ったより一層の愚じゃ。
特に餌の中でも、御馳走の川蝦は、あの松がしんせつに、そこらで掬って来てくれたんで、それをちぎって釣る時分は、浮木が水面に届くか届かぬに、ちょろり、かいず奴が攫ってしまう。
大切な蝦五つ、瞬く間にしてやられて、ごうなになると、糸も動かさないなどは、誠に恥入るです。
私は賢君が知っとる通り、ただ釣という事におもしろい感じを持って行るのじゃで、釣れようが釣れまいが、トンとそんな事に頓着はない。
次第に因ったら、針もつけず、餌なしに試みて可いのじゃけれど、それでは余り賢人めかすようで、気咎がするから、成るべく餌も附着けて釣る。獲物の有無でおもしろ味に変はないで、またこの空畚をぶらさげて、蘆の中を釣棹を担いだ処も、工合の可い感じがするのじゃがね。
その様子では、諸君に対して、とてもこのまま、棹を掉っては帰られん。
釣を試みたいと云うと、奥様が過分な道具を調えて下すった。