Classici giapponesi con furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Leggi 悪獣篇 (あくじゅうへん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.715 caratteri · 73 schermate
大方また毛虫でしょう、大丈夫、毛虫は追駈けては来ませんから。」
「毛虫どころじゃアありません。」
と浦子は後見らるる状。声も低う、
「銑さん、よっぽどの間だったでしょう。」
「ざッと一時間……」
半分は懸直だったのに、夫人はかえってさもありそうに、
「そうでしたかねえ、私はもっとかと思ったくらい。いつ、店を出られるだろう、と心細いッたらなかったよ。」
「なぜ、どうしたんですね、一体。」
「まあ、そろそろ歩行きましょう。何だか気草臥れでもしたようで、頭も脚もふらふらします。」
歩を移すのに引添うて、身体で庇うがごとくにしつつ、
「ほんとに驚いたんですか。そういえば、顔の色もよくないようですよ。」
「そうでしょう、悚然として、未だに寒気がしますもの。」
と肩を窄めて俯向いた、海水帽も前下り、頸白く悄れて連立つ。
少年は顔を斜めに、近々と帽の中。
「まったく色が悪い。どうも毛虫ではないようですね。」
これには答えず、やや石段の前を通った。
しばらくして、
「銑さん、」
「ええ、」
「帰途に、またここを通るんですか。」
「通りますよ。」
「どうしても通らねば不可ませんかねえ、どこぞ他に路がないんでしょうか。