Classici giapponesi con furigana
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あくまのもんしょう
悪魔の紋章
江戸川 乱歩
Leggi 悪魔の紋章 (あくまのもんしょう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 151.280 caratteri · 301 schermate
「よし、お前、足の方を持つんだ。そして、棺の中へ納めてしまおう」
大男の指図に、小男は無言で川手氏の膝の辺に両手を廻し、力まかせに抱き上げた。
そうして宙を運ばれながら、生きた心地もない焦慮の中で、川手氏は不思議にはっきりと、ある異様な事柄を気附いていた。
というのは、黒眼鏡の小男が、どうも本当の男性ではないという事であった。膝に巻きついたネットリとしなやかな腕の感触、時々触れ合う胸の辺の肌触り、それに、小刻みな柔かい息遣いなどが、女としか思われないことであった。
だが、それは、慌しい心の隙間に、一瞬チラッと閃いたばかりで、やがて例の不気味な寝棺の中にドサッと抛り込まれてしまうと、もうそんなことを考えつづけている余裕などある筈もなかった。
「川手、俺はとうとう目的を達したんだ。俺がどんなに嬉しがっているか、君に想像がつくかね。四十年の恨みを、俺の父と母とのあの血みどろの妄執を、今こそはらすことが出来たのだ。
お父さん、お母さん、これを見て下さい。あなた方の敵は、今生きながら棺桶の中へとじこめられようとしているのです。あなた方のあの残酷な御最期にくらべては、これでもまだ足らないかも知れません。