Classici giapponesi con furigana
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さんじのあと
惨事のあと
素木 しづ
Leggi 惨事のあと (さんじのあと) di 素木 しづ (しらきしづ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.258 caratteri · 23 schermate
そして、揃って夕食を終えて、二人の小さい子供は、まだ膳の片付もすまないうちに、もうごろ/\と炉ばたのむしろの上にうたゝねを初めていた。
楯井さんは黙って炉の火をいじったり、薪をくべたりなどしていたその瞬間、全く皆なの心が申し合せたように、しんみりしていた。なんとなくぬけ出すことの出来ないような沈黙のなかにいた。そして親子三人は、何かの不思議な物音、物音というよりもかすかな遠い幽鬱な響を耳にした。三人の心に冷い総毛立つような気味悪さが流れ込んで来た。楯井さんのおかみさんは、楯井さんの側へ近よった。
三人とも少しも動かなかった。そして小屋の入口を見た。入口には実際殺された嫁さんの姿が、煙のようにしかし正しく立った、小屋の入口の代用として上からぶら下げてあるむしろを手で横にあけながら、青白くすきとおるような嫁さんの顔が、はっきりと皆の顔にうつった。幻影ではない。妄想ではない。慥かにあの嫁さんの姿である。
三人は驚くよりも、むしろ悲しかった。約一分間の後その姿は戸口に見えなかった。楯井さんは、急に黙って立上った。そして小屋の片隅に仏壇がわりに自分で吊った棚へ火をともした。