Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
私は、運転手のすぐうしろの席に坐っていた。汚れた黒い板の床をみていた。富子に逢いに行き、雨の中をさまよい歩いた夜を思い出して、私はあれはきちがい沙汰だったなと思った。おかげで下宿のおばさんに服を強制的に洗濯屋に持って行かれ、すこし気早やなポロシャツに重いズボンというすがたなのだ。……小田富子は、引越していたのではなかった。私はその朝、それを知った。富子から手紙が来たのだった。
住所をみて、私はしばらくは自分にうんざりとしていた。どうしてこう私はいつもズレているのだろう。彼女の住所は中目黒だった。
女学生じみた見なれた字が、見なれた白い封筒と無地の白い便箋に走っていた。趣味の点で、彼女は二年前と同じく充分に頑固だった。富子は、やはり真理子の告別式に来ていた。
「なぜ逢って下さらないのかということは、このごろでは考えないことにしました。私はかえって貴方の強情に敬意を表しています。(強情、やせ我慢、としか私には思えません。これは貴方の、一種の意地みたいなものだとしか)」
冒頭をよみ、なぜおれに嫌われたのだというふうにはちょっとでも考えないのか、と私はむしろ驚嘆をかんじていた。