Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
なごやかな冬の陽をあび、屋上のコンクリートの表面に引きずるような音をたてて、五六人がならんでダンスのステップを習っている。教えている一人が手を拍ちながら近づく。肱を水平にし、へっぴり腰でふらふらと歩いてくる一人が彼に声をかけた。
「おい、お前も習わないか? 踊れねえんだろう?」
「いくらだ?」
「一回、一人二十円」教えている学生が振りかえった。「どう?」
「スロオを教えてくれ」と、彼はいった。「スロオだけでいいんだ、そのほかはべつにおぼえたくない」
ステップは簡単だった。だが、友達がいくらすすめても彼は他のステップは習わなかった。練習はその昼休みだけで充分だと思えた。
「もう巧いよ、あとはリードすること、実際にやって、音楽にのること」
「サンキュウ、あとは結構」
兄の楽団でのアルバイトは、だれにもいってなかった。信二はほがらかに二十円を払った。ステップをおぼえた代価が、たったそれだけですんだのにも彼は満足していた。
松林にかこまれた茅ヶ崎の米軍戦車隊は、周囲に有刺鉄線の高い柵を張りめぐらしてあった。それがときに野戦の設営地か、収容所にいるような印象をあたえる。