Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
少尉はゆっくりと娘にくりかえした。「え? スイートハート? コ、イビト?」「……イエス」ふるえながら娘はいった。
「みろ、この卑怯者め」少尉はにくにくしく指をのばし、信二の額を突ついた。「娘のいったのをきいたか」
「ちがう、僕らは恋人どうしじゃない」屈辱をこらえながら、信二は低くいった。ずきずきと疼きが頭にひびいていた。「そうじゃない、ただの……」
「これはなんだ」少尉はアルミニュームのコップを出し、それで信二の頭をたたいた。「こっそりなんかもらっていたんだろう、え?」
少尉はくすくすと笑った。「あそこに、落ちていたんだ」頤をしゃくった。信二はだまっていた。
「行け」少尉はいった。「おれは黙っていてやる。だからお前もだまっていろ。いいな」
「行こう」信二は娘にいった。歩き出そうとした。
「ちょっと待て」とまた声が呼んだ。声は陽気だった。
「なんだ、これ以上、なにがあるんだ」
「お前たちに恋人の習慣をおしえてやろう」たかい笑い声をひびかせると、少尉は上機嫌な顔で近づき両腕で二人の首をかかえこんだ。娘がまた叫んだ。
「よせ、なにする」信二は必死に抵抗しようとした。いつか控え室で兵隊に酒を無理に飲まされたことがあったが、この侮辱はわけがちがっていた。