Classici giapponesi con furigana
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あいのごとく
愛のごとく
山川 方夫
Leggi 愛のごとく (あいのごとく) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 103.908 caratteri · 210 schermate
相手は相手であり、自分以上にそれを信じたり愛したり大切にしたりはできず、自分を捨ててまで献身できる対象なんてありはしないからだ。私には自分しかなく、その自分は、いつも不可解な怒りであり屈辱であり羞恥であり、声をもたぬ恐怖の絶叫なのだが、しかし私にはそんな自分の中にだけもぐりこもうとする薄穢くうしろめたい激情しかないのだ。他に、信じられるどんな情熱も自分もないのだ。
女との行為の単調さに、私はいささか飽きてもきた。私にはここの便所での爆撃のほうが、いつもはるかに快かった。が、泊っていくようになると女は執拗に何回も求めてきて、途中で面倒くさくなって私が止めたりすると、ほとんど半狂乱になって泣いた。そんなとき、もともとキツネ型の、頤がとがり目の細く上向きに切れた脣の大きな女は、赤い脣が耳まで裂けたお化けみたいになり、まるでそれじたいが一つの性器に化したように、貪婪に私を吸いつくし、嚥みこもうとしているのだとしか思えなくなる。
だから土曜の夜が終り、時計の針が一時を過ぎると、私は機械のように机に向かうことにきめた。すぐうしろの蒲団から、女は私をくすぐったり、ときには蹴とばしたりして相手になってもらおうとする。