Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
「昨日は、どうもご丁寧に。小火ぐらいのことで、あんなにしてもろては、すまんな」
と、いきなり相手のセリフを食ってしまったので、石田氏の出場がなくなった。
「あんたに逢ったら、聞こう思うていたのやが、消防の酒肴料なんぼやった?……なに、二万円? そりゃ多いよ。そこにいる係長あたりがいうたんやろが、やりすぎてはあかん。わしが半分、取返してあげる」
係長は、太田夫人とかかりあいたくないふうで、すこし離れたところに立って、半白の紳士とさりげない話をしていたが、自分の名が出たので、だまっていられなくなったらしく、顔だけこちらへねじむけて、
「太田さん、私は消防にいくら包め、なんていったことはありませんよ。それは誤解です」と抗議した。
太田夫人は両足を踏みひらいて縁端に掛けると、まぎれもない女親分の貫禄になって、
「誤解か? 誤解なら誤解でもええが、サァちゃんは、ですな、あんたらがどんなことをやっているか、みィんな見とおしとるんよ。ギヴミーとはいわんけれども、人民から金銭をハタリ取ることにかけちゃ、あんたらは天才やからね。どやネ? 嘘じゃないでしょう」
頭ごなしにやっておいて、係長がひるむのを見すまして、いきなり豚の話になった。