Classici giapponesi con furigana
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わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate
せっかくの電気レンジも、いっこうに魅力を感じない。
「いそがしいから、またあとで」
百々子がそういうと、千々子さまは、むずかしい顔になって、
「なにが、忙しいの……あなたの持っている餌箱には、ボッタと芋羊羹が入っているだけでしょう。パパは戻りのない空の摺鈎で、餌なしの引っ掛け釣をしているんだから、あなたに用があるわけはないじゃありませんか。そんなところで猫になっていないで、早くいらっしゃい」
石田氏は鈎をあわせて、竿を起すと、
「嫌なものを、無理に連れて行くことはない」
といいながら、プールの水に鱗波をたてて右往左往する錦手の鯉の子供を、上手に、玉網ですくいにかかった。
「パパなら、なお結構よ……ケチンが出来ましたから、見にきてちょうだい」
「おれたちはいいから、早く行って、アメリカの国旗でも出すこったな」
「国旗、国旗って、うるさいのね……冗談に、アメリカの国旗でも出したいほどうれしいといったのが、そんなにお気にさわったのかしら」
上の芝生の道から、賢夫人が降りてきた。
「千々子さん、なにを、大きな声をだしているんです、あなたらしくもない」
例によって、様子ぶったことをいいながら、石田氏のそばにしゃがみこんだ。