Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Leggi 我が家の楽園 (わがやのらくえん) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 90.195 caratteri · 175 schermate

Aozora Bunko

どういう成行きになるのかと、百々子が観察しているとき、入り側のそとの庭先で、赤ん坊の泣声がした。

「あんなところで、走ん坊が泣いている」

頓狂な声で百々子がそういうと、聞き耳をたてていた石田氏が、なにを思ったのか、すごい眼つきで、ジロリと千々子さまのほうを見た。

千々子さまが、どこかで、こっそりと生みおとした眼の青い子供を、庭先へ捨てたか、と思ったわけでもなかろうが、世の中が乱れると、こういうこともあるかもしれない、といったくらいの予想があったものらしい。

賢夫人は、たちまち眉を顰めて、

「いやだ……あんなところへ、誰か、子供を捨てたのよ。ここへ通っていた、パンパンかなにかの仕業ですね」

と察しのいいことをいった。

ともかく、見てみようということになって、百々子を先頭にして、四人で庭へおりた。

根笹の藪にかこまれた、風のあたらないところに、毛布で包んだ生後二ヵ月ぐらいの赤ん坊が、鼻歌をうたうような調子で泣いている。友禅模様の羽二重の着物とチャンチャンコを着ているが、髪の毛は刻煙草のような薄い亜麻毛で、子供が絵に塗る空の色のような、すき透った青い眼をしていた。