Classici giapponesi con furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Leggi 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 116.728 caratteri · 231 schermate
こんな時、女の或る人によってはこじれて、一向はきはきしてくれない性質があるものだが、この人は立原を信じているのと、立原の先輩である私にためらわぬものとを同時に示してくれていて、好感があった。
「この離れは堀君や津村君も泊ったことがあるんだから、休みたまえ、一たい汽車は何時なんだ。」
「夜行にしようと思っているんです。」
「では好きに一日ねころんでいたまえ。」
私は毛布二枚を抱えて、離れに立原と、娘さんとをあんないし、障子をぴたりと閉め切り、女中に茶の盆と鉄瓶とをはこばせた。立原は離れの様子を知っていたので、二人は離れにはいると昼の食事まで物音一つ立てないで、引っこもっていた。大きな黒い靴と、ちいさな女の白靴とが、爪先を門の方に向けて仲よくならんでいた。
午後にかれらはお湯にはいり、さばさばした顔付で津村信夫へのおみやげを買いに町に行き、三時のお茶を喫みに帰ったが、女の人は立原の言うことにうなずくだけで、話らしい話はしなかった。どの程度の深さがつきあいにあるのかも、わかりにくかった。ただ、この小がらで地味な、人のこころをすぐに捉えそうに見えるすがたは、立原がたくさんに示さなくともよい愛情を、全部うけとめているふうだった。