Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるさっかのやくび

或る作家の厄日

豊島 与志雄

Leggi 或る作家の厄日 (あるさっかのやくび) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.284 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

メモに過ぎず、粗描に過ぎないのだ。

「君の勉強になるなら、結構だ。然しね、作品はやさしいほどいいんだ。作家というものは、大衆に奉仕する精神が大切だ。独りよがりは最もいけない。深遠なことを平易に表現する、これが最高の技術だ。」

彼女は黙って謹聴している。もういいと言うまで、そこに坐りこんでるかも知れない。気が利かないんだ。

「もういい。」とおれは言う。

それからおれは一人で、酒を飲みはじめた。電熱器を持ちこんで、日本酒の燗をするのだ。考えることも仕事の一種だと、さよ子にも女中にもかねがね言い聞かしてある。こちらから呼ばなければ、誰もサーヴィスに来ない。よく訓練がとどいている。

相馬多加代は、いったいどうしたのであろうか。いくら待ってもやって来ない。午後、夕方までには、必ず、と堅い約束だった。もう薄暗くなりかけている。

多加代がおれの書斎にやってくる、そして二人で酔っ払って、それから……その先になにか、宿命的な決定的なものが控えているのだ。おれはそれを肯定し、それを受け容れよう、拒否はすべて卑怯だ。

おれと同じく、彼女も拒否を知らない。

「自分で自分がわからないわ。