Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおんなのしゅき

或る女の手記

豊島 与志雄

Leggi 或る女の手記 (あるおんなのしゅき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.447 caratteri · 37 schermate

Aozora Bunko

彼の頭は恐ろしいほど鋭い一面があると共に、何処か足りない――というより狂人じみた点もあった。それで和尚さんは可なり心配されて、人格の修業をするように常々説き聞かせられていた。所が二十二歳になった一昨年の秋頃から、彼は深い煩悶に囚えられたらしかった。(和尚さんは、私のことは少しも知っていられないのであった。)そしてるうちに、昨年の夏以来、彼はちょいちょい酒を飲むようになった。一晩他処に泊って来ることもあったそうだ。和尚さんは厳重な叱責を加えられた。その時彼は断然行いを改めると誓った。そしてこれからは庭の掃除なんかも、寺男の手をかりないで自分でやると云い出した。和尚さんは大変喜ばれた。彼の行いも実際見違えるほどよくなった。それがずっと続いた。所が一咋日の晩、夜遅く帰って来て、自分の室で一人泣いていたそうである。和尚さんはよそながら注意していられた。すると、その夜から彼の姿が見えなくなった。白の平素着をぬぎ捨てて、普通の着物を着て出て行ったのである。なお種々調べてみると、お寺にあった現金七十何円かが無くなっていた。他には何等の変りもなく、書いた物もないので、屹度金を盗んで逃げ出したものと和尚さんは思われた。