Classici giapponesi con furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
僕はこれで失礼します」
葉子はあわてて、
「まあそんな事はちっともありません事よ。古藤さんそんな事をおっしゃらずにしまいまでいらしってちょうだいどうぞ。みんなで途中までお送りしますから」
ととめたが古藤はどうしてもきかなかった。人々は食事なかばで立ち上がらねばならなかった。古藤は靴をはいてから、帯皮を取り上げて剣をつると、洋服のしわを延ばしながら、ちらっと愛子に鋭く目をやった。始めからほとんど物をいわなかった愛子は、この時も黙ったまま、多恨な柔和な目を大きく見開いて、中座をして行く古藤を美しくたしなめるようにじっと見返していた、それを葉子の鋭い視覚は見のがさなかった。
「古藤さん、あなたこれからきっとたびたびいらしってくださいましよ。まだまだ申し上げる事がたくさん残っていますし、妹たちもお待ち申していますから、きっとですことよ」
そういって葉子も親しみを込めたひとみを送った。古藤はしゃちこ張った軍隊式の立礼をして、さくさくと砂利の上に靴の音を立てながら、夕闇の催した杉森の下道のほうへと消えて行った。
見送りに立たなかった倉地が座敷のほうでひとり言のようにだれに向かってともなく「ばか!」