Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
外套をびっしょり雨にぬらしているのから見ても、この真夜中に岡がどれほど働いてくれたかがわかっていた。葉子はしかしそれには一言の挨拶もせずに、岡が道具を部屋のすみにおくや否や、
「倉地さんは何かいっていまして?」
と剣を言葉に持たせながら尋ねた。
「倉地さんはおいでがありませんでした。で婆やに言伝てをしておいて、お入り用の荷物だけ造って持って来ました。これはお返ししておきます」
そういって衣嚢の中から例の紙幣の束を取り出して葉子に渡そうとした。
愛子だけならまだしも、岡までがとうとう自分を裏切ってしまった。二人が二人ながら見えすいた虚言をよくもああしらじらしくいえたものだ。おおそれた弱虫どもめ。葉子は世の中が手ぐすね引いて自分一人を敵に回しているように思った。
「へえ、そうですか。どうも御苦労さま。……愛さんお前はそこにそうぼんやり立ってるためにここに呼ばれたと思っているの? 岡さんのそのぬれた外套でも取ってお上げなさいな。そして宿直室に行って看護婦にそういってお茶でも持っておいで。あなたの大事な岡さんがこんなにおそくまで働いてくださったのに……さあ岡さんどうぞこの椅子に(といって自分は立ち上がった)……わたしが行って来るわ、愛さんも働いてさぞ疲れたろうから……よござんす、よござんすったら愛さん……」