Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
あるおんな
或る女
有島 武郎
Leggi 或る女 (あるおんな) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 205.655 caratteri · 406 schermate
その夜苦しみ通した葉子は明けがた近く少し痛みからのがれる事ができた。シーツを思いきりつかんでいた手を放して、弱々と額の所をなでると、たびたび看護婦がぬぐってくれたのにも係わらず、ぬるぬるするほど手も額も油汗でしとどになっていた。「とても助からない」と葉子は他人事のように思った。そうなってみると、いちばん強い望みはもう一度倉地に会ってただ一目その顔を見たいという事だった。それはしかし望んでもかなえられる事でないのに気づいた。葉子の前には暗いものがあるばかりだった。葉子はほっとため息をついた。二十六年間の胸の中の思いを一時に吐き出してしまおうとするように。
やがて葉子はふと思い付いて目でつやを求めた。夜通し看護に余念のなかったつやは目ざとくそれを見て寝床に近づいた。葉子は半分目つきに物をいわせながら、
「枕の下枕の下」
といった。つやが枕の下をさがすとそこから、手術の前の晩につやが書き取った書き物が出て来た。葉子は一生懸命な努力でつやにそれを焼いて捨てろ、今見ている前で焼いて捨てろと命じた。葉子の命令はわかっていながら、つやが躊躇しているのを見ると、葉子はかっと腹が立って、その怒りに前後を忘れて起き上がろうとした。