Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とびら

扉

小川 未明

Leggi 扉 (とびら) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8143 caratteri · 17 schermate

Aozora Bunko

それともこの嵐に妨げられて、飛ぶことが出来ないのでないか?

もう黒い鳥の音がしなくなった!

怪物のような建物は平地に横たわっていた。嵐は思い思いに叫んでその周囲を廻った。頭の上を駆けた。蹴った。突き当った。怪物の赤い眼は一つ、一つ失せて、ただ一つ残ったのが赤く爛れて活きている。

Kは神経質の眼を、まだ闇の中に突き入れていた。

ランプの飴色の光りは、赤いネクタイ、黒い洋服の縞の目にくぐり込んだ。青いインキは金ペンの尖に留って、それにランプの光りが沈んで眠げに見えた。

青い曲折の多い複雑な線は、行列を造って、死んだ花弁のような白い、紙の上で笑ったり戦いたりしていた。

重なり合っている紙の、上から六枚目では、早く遠い国へ行きたい。賑やかな国へ行きたい。陰気なこの建物から逃れたいといっている。

「それはどこの国だ。何という国だ。」

「名は知らない。」

「南の方か?」

「南の方だ。」

「いつその国を知った。」

「ある時町へ出て、好い香りのする石鹸を買った。その包袋に、真紅な花が咲いていた。美しい裸体の女が、緑の葉の繁った中の湖水に浴しているのが描いてあった。その時、これはどこで出来たのかと小さな金文字を見ると、※Paris, と書いてあった。